ぼんやりと俄雨

日記、手記、雑記、テキストデータ。日常で思い浮かんだ事、感じた事を平凡に吐き出します。

1997.夏

20年くらい前の夏、海へ行った時の事。ビニールシートで父と母が談笑し、妹が砂で城を作っている。

自分は鮭のコンビニおにぎりを食べながら、砂浜を眺めていた。何もおかしなところはない砂浜だったが、ところどころにタイヤの跡があった。

ずっと向こうまで、どこまでも向こうまで続いているタイヤの跡。海と空の青が混じってぼやけているあの向こうまで続いている気がした。

おにぎりを食べ終え、あの向こうまで行ってみようと思い立ち、1人でトボトボとタイヤの跡を辿った。このままタイヤの跡を辿っていけば、ぼやけた青い世界に行ける気がした。そう思うとワクワクしてきて、気付いたら夢中で走っていた。

足元を見るとタイヤの跡も無くなっていて、ただただ砂浜で1人迷子になっていた。青い世界に行けない悔しさと迷子になった心細さから、1人で大声で泣いた。

その後、20歳くらいの優しいカップルに監視員のおじさんの所に連れていってもらい、〇〇からお越しの〇〇君が迷子です、とアナウンスしてもらった。アナウンスがあってすぐに父が迎えに現れ、おじさんに深々とお辞儀をした。

母親のところに帰る途中、「どうしてそんな遠くまで行ったの?」と父から聞かれ、おじさんからもらった柿の種を食べながら、「あの向こうまで行ける気がした」と答えた。

 

ふと20年ぐらい前の事を思い出した。バカな子供でした。